曹洞宗大本山・永平寺では、開祖である道元禅師が記した「典座教訓」の精神に準じ、修行僧や参籠者達の食事が作られています。
これは仏教の「法食同輪」を説くもので、食事を大切な修行のひとつとして捉え、調理と食事作法を仏道修行の域にまで高めようとする教えです。
永平寺の台所である大庫院(だいくいん)では、昔から受け継がれてきた献立をもとに、魚介類や肉類を用いず穀物や野菜を主とする精進料理を調理しています。
また、毎日の食事の他に、漬物や味噌などの保存食づくりも行っています。なかでも味噌は精進料理に欠かせない貴重なタンパク源として、修行僧の心身を健やかに支え続けてきました。
米五は昭和45年から永平寺の味噌蔵を預かり、昭和54年には永平寺御用達の認証を授かっています。
永平寺の大庫院では、重要な修行のひとつとして食事の用意と共に、様々な保存食作りを行っています。 味噌作りもそのひとつでしたが、量の多さや建物の諸事情から、昭和40年頃に味噌蔵の仕込みは外部に委託されることになりました。そのとき当時の農協の紹介により、米五が永平寺の味噌蔵を預かる栄誉を賜ったのです。
味噌は材料の吟味はもとより、蔵の管理によって味が大きく変化します。私たちは昔ながらの豊かな味わいを継承するべく、当初は週に2~3回、永平寺まで味噌の手入れに通いました。その後、衛生管理面等の問題から、福井市内にある米五の工場に味噌蔵を移動することになったのです。
永平寺御用達組合は現在125社(2017年2月現在)ありますが、味噌屋は私たち米五のみ。その責任と誇りを胸に、今も昔と変わらない原料と手法で永平寺に味噌を提供しています。